海外旅行に行く際は、旅先でのさまざまなリスクに備えて保険に加入したいところ。
多くのクレジットカードでは、付帯サービスとして海外旅行保険がついています。
保険会社の海外旅行保険に加入する必要が無くなるので、保有するクレジットカードの海外旅行保険を利用したい人は多いでしょう。
とはいえ、クレジットカードの付帯サービスで十分な補償が受けられるか、不安を抱く人もいます。
この記事ではクレジットカードの海外旅行保険の補償内容や、おすすめのクレジットカード、補償申請手順などを解説します。
海外旅行保険が付帯するクレジットカードを持つメリット
まずは海外旅行保険が付帯するクレジットカードを持つとどんなメリットが得られるか確認しましょう。
簡単にまとめると、適用を受けるための条件が厳しくなく、適用される範囲が広いという特徴があります。
持っているだけで海外旅行保険が適用されることも
海外旅行保険が付帯するクレジットカードには、持っているだけで補償が適用されるカードもあります。
海外旅行保険付きのクレジットカードには大きく「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があり、自動付帯のカードならば持っているだけで海外旅行保険が適用されます。
持っているだけとは、その海外旅行における各種支払にクレジットカードを利用してしないという意味です。
旅行会社での旅行の申し込みや宿代、現地での交通費などを清算する際にクレジットカードを利用しなくても、保険が適用されます。
自動付帯タイプのクレジットカードを持っていれば、海外旅行時に保険の適用を受けられる可能性がグッと高まります。
海外におけるトラブル費用が補償される
保有するクレジットカードのサービス内容にもよりますが、海外旅行保険付きのクレジットカードでは海外で生じたさまざまなトラブル費用が補償されます。
海外旅行で起こりやすい具体的なトラブルについては、このようなものが考えられます。
- 旅行先の交通事故でケガをして病院の治療を受けることに
- ホテルに預けた荷物が盗難にあってしまった
- 現地特有の感染症にかかり入院を余儀なくされた
- よそ見をしてたら通行人とぶつかりケガを負わせてしまった
このようなトラブルにも、海外旅行保険が付帯するクレジットカードを利用すれば恐れずに対処可能です。
また、クレジットカードの付帯サービスには申込者の家族に対しても同様のカードが追加で付与される家族カードというサービスがあります。
海外旅行保険付きのクレジットカードで家族カードを発行すれば、家族も同じ内容の海外旅行保険サービスを受けられます。
ここからは海外旅行保険が付帯するクレジットカードの選び方として、自動付帯と利用付帯、どのような補償があるのか、補償の範囲などについて詳しく解説していきます。
海外旅行保険が付帯するクレジットカードの選び方
海外旅行保険付きのクレジットカード選びで失敗しないためには、いくつか確認しておくべきポイントがあります。
選び方の5つのポイントをチェックしましょう。
自動付帯のクレジットカードがおすすめ
自動付帯か利用付帯かどちらを選ぶかに関しては、自動付帯のクレジットカードがおすすめです。
自動付帯と利用付帯、それぞれの違いは下記の通りです。
自動付帯 | クレジットカードを持っているだけで海外旅行保険が適用される |
---|---|
利用付帯 | 海外旅行保険付帯のクレジットカードで旅行代金の支払いをすることで適用される |
利用付帯では事前に旅行代金の支払いをクレジットカードで行っていなければ、その旅では保険を利用できません。
一方、自動付帯付きでは旅行代金の支払い方法には関係なく、保険サービスの適用が受けられます。
いざというときにすぐに役に立つのは「自動付帯」のカードです。
自動付帯のクレジットカードの場合でも、旅行に持っていくのを忘れないようにしましょう。
緊急のケースで、カード会社の連絡先やカード番号が分からないと、手続きがスムーズにいかなくなる恐れがあるためです。
利用付帯の場合は適用条件を確認しておく
基本的には自動付帯タイプがおすすめですが、すでに持っているクレジットカードが利用付帯だったという人もいるでしょう。
利用付帯タイプを利用する場合は、どんな時に海外旅行保険が適用となるのか、適用条件を確認するようにしてください。
クレジットカード会社や商品によって適用条件は異なり、場合によっては満たすのが難しい適用条件が設定されているケースもあります。
例えば、三井住友カードでは、カード利用条件分(利用付帯サービスのこと)について下記の通り記載しています。
「カード利用条件分」とは、日本出発前に航空機・電車・バス・タクシー・船舶などの公共交通乗用具の料金や宿泊を伴う募集型企画旅行の旅行代金を当該カードでクレジット決済いただいた場合、あるいは日本出国後、公共交通乗用具の料金をはじめて当該カードでクレジット決済いただいた場合に適用となる保険金額です。
この場合、パッケージ型の旅行商品を予約しクレジット決済するか、日本出発前もしくは出発後(はじめて)に利用する公共交通乗用具の料金をクレジットで支払うか、どちらかに該当しないと保険の適用を受けられません。
旅行代金の支払いにクレジットカード決済を行わずに海外へ行く場合、入国後に公共交通機関の支払いにクレジットカードを使わないと保険が適用されないのです。
旅行する国によっては公共交通機関でクレジットカードが利用できないケースもあり、利用付帯の海外旅行保険は条件が適用されないことも考えられます。
事前に適用条件をきちんと把握していないと、うっかり現金で旅行代金を支払ってしまい、取り返しがつかなくなる恐れもあります。
家族も補償の範囲内になるかチェック
クレジットカードの種類によっては、家族も海外旅行保険の補償が利く場合があります。
家族も補償の範囲内とするサービスは、家族特約と家族カードの2つです。
家族特約と家族カードの違いは、以下の通りになります。
家族特約 | カード持ち主のカード1枚に家族もカバーする保険がついている |
---|---|
家族カード | カードの持ち主の家族に対して、追加でカードが支給され、持ち主と同様のサービスが受けられる |
家族カードの場合、その家族が利用するカードをもう一枚追加で発行してもらいます。
オプションサービスなので利用料金が別途かかる場合もあり、家族が18歳以上でなければ発行できないというルールもあります。
このため家族が18歳未満であれば、必然的に家族特約を選択するしかありません。
これらのサービスは家族旅行はもちろん、父親や母親などクレジットカードの申込人が旅行に同行していなくても、補償対象となるので心強いです。
子供がいる方のクレジットカード選びでは、家族特約や家族カードが選択可能かどうかという点はぜひとも確認しておきたいポイントです。
補償内容とその金額について確認しておく
補償内容や金額はクレジットカードによって変わる部分なので、確認しておきましょう。
海外旅行保険の補償内容として考えられる項目を表にしましたので、下記をご覧ください。
種類 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
障害死亡 | 旅行期間中のケガが原因で死亡した時に適用される保険 | 最高2,000万円限度 |
後遺障害 | 旅行期間中のケガが原因で医学上これ以上回復が見込めない状態になってしまった時に適用される保険 | 最高2,000万円限度 |
障害治療費用 | 旅行中期間中のケガが原因で、病院で診察・治療を受けた時に適用される保険 | 100~200万円限度(1度の事故につき) |
疾病治療費用 | 旅行期間中に、病気が原因で医師の治療を受けた時に、診療や入院費用等の支払いが受けられる保険 | 100~250万円限度(1度の事故につき) |
賠償責任 | 旅行期間中に、他人への賠償責任を負った時に、賠償金や弁護士費用等の支払いが受けられる保険 | 2,000~2,500万円限度(1度の事故につき) |
救援者費用 | 旅行期間中の病気やケガのために、親族が救援者として現地に行く場合に生じる費用の支払いが受けられる保険 | 100万円限度(1度の事故につき) |
携行品損害 | 旅行期間中に持ち物が盗難に遭った場合に、その価格や修理費用を負担する保険 | 20万円限度(1度の事故につき) |
上記の補償内容はおおむねどのクレジットカードでも、サービスに含まれています。
障害死亡・後遺障害の金額が高い点に目がいきがちですが、実際に利用する可能性が高いのは疾病治療費用にかかる保険です。
「クレジットカードがあるから、海外で病気になっても100万円くらいなら保険が適用できる」と考えてもらって構いません。
注意すべきなのは、海外旅行保険には、補償対象期間が設定されている点です。
補償対象期間を過ぎてしまうと条件に合致する場合でも、保険の適用が受けられなくなってしまうので気をつけましょう。
補償対象期間は、だいたい3ヶ月(90日)の場合が多く、カード会社によっては180日とする場合もあります。
例えば、長期ホームステイや海外留学などのケースでは補償対象期間を経過して滞在する可能性もあり得るので、注意が必要です。
家族カードでは基本的に本人と同様の補償が受けられるので、追加でカードの発行を受けた家族も上記の補償内容が適用されます。
複数枚海外保険付きカードを持つのもおすすめ
海外旅行保険が付帯するクレジットカードは、複数枚持つのもおすすめです。
なぜなら障害死亡・後遺障害以外の補償内容については、合算ができるからです。
例えば、旅行先で病気にかかり入院してしまった場合などはクレジットカードAで200万円、クレジットカードBで150万円、合計350万円の補償を受けられます。
1枚のクレジットカード単体の補償額に不安があるなら、複数枚持つのも良いでしょう。
ただし複数枚すべて、利用付帯タイプのクレジットカードを持つのはおすすめできません。
すべてのカードを海外で利用していないと、補償が合算で受けられません。
できるならば両方、自動付帯型のカードを使用するのが一番です。
海外旅行保険付帯のおすすめクレジットカードは?
海外旅行保険が付帯するクレジットカードは、調べてみると山ほどあります。
その中でも旅行の場面で利用しやすい、おすすめのクレジットカードを4つ選んでみました。
JCBカードWは海外旅行保険付帯でポイントも高還元
国際ブランド | JCB |
---|---|
申し込み条件 | 18歳以上39歳以下 |
年会費 | 無料 |
還元率 | 1.0%〜5.5%※ |
海外旅行保険 |
補償対象旅行期間:3ヶ月 |
JCB CARD Wはポイント還元率が高く年会費は無料であるため、「最強のクレジットカード」とも呼ばれるカード。
海外旅行保険は「搭乗する公共交通乗用具」もしくは「参加する募集型企画旅行」の料金を支払った時しか適用されません。
利用付帯型なのが痛いところですが、年会費が無料なので複数枚利用するケースでは適したカードだと言えます。
通常のJCB CARDと比べてポイントが2倍つき、ポイント還元率も1.0%〜5.5%※と高いので、海外旅行保険以外でもおすすめのカードです。
ただし、年齢制限があり、30代までしか利用できない点は注意してください。
※最大還元率はJCB PREMO(or nanacoポイント)に交換した場合
エポスカードは即日発行で海外旅行保険付帯
ブランド | Visa |
---|---|
申し込み条件 | 18歳以上 |
年会費 | 無料 |
還元率 | 0.5% |
海外旅行保険 |
補償対象旅行期間:3ヶ月 |
エポスカードは即日発行が可能で、年会費無料のクレジットカード。
Webで申し込み店頭で受け取るという方法を取れば、申し込みから発行まで1日で完了できます。
年会費が無料で海外旅行保険が自動でついている点はとても魅力的です。
日本国内でも優待が使える店舗が多いといったメリットもあり、すでにクレジットカードを持っている人でもサブカードとしての発行をおすすめできます。
三井住友カードは海外旅行保険の補償が手厚い
ブランド | Visa・Mastercard® |
---|---|
申し込み条件 | 18歳以上 |
年会費 | オンライン入会で初年度無料(2年目以降:1,375円) |
還元率 | 0.5~5.0% |
海外旅行保険 |
補償対象旅行期間:3ヶ月 |
三井住友カードは他のクレジットカードと同様、海外旅行保険の補償が手厚くなっています。
対応の国際ブランドVisaは海外加盟店舗数トップなので、旅先でのショッピング利用に適しています。
キャンペーンや特典も充実しており、学生にも使いやすいカードだと言えます。
セゾンブルーアメックスは海外旅行で便利なカード
ブランド | AmericanExpress |
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申し込み条件 | 18歳以上 |
年会費 | 初年度無料(2年目以降3,300円) |
還元率 | 0.5% |
海外旅行保険 |
補償対象旅行期間:3ヶ月 |
セブンブルーアメックスカードは、海外旅行保険が自動付帯なので利便性が高いカードです。
障害死亡・後遺障害や賠償責任の上限額も3,000万円と、他のクレジットカードと比べて高いです。
年会費が2年目以降は3,300円と表には書いてありますが、26歳までの人は2年目以降でも無料になります。
有効期限のない永久不滅ポイントなので、ポイントの期限を気にせず利用できます。
保険会社とクレジットカードに付帯する海外旅行保険の違い
クレジットカードの海外旅行保険の内容は分かったけど、保険会社が提供する海外保険と違いがあるのか気になる人もいるでしょう。
結論からいうと、やはり保険会社とクレジットカードに付帯する海外旅行保険では違いがあります。
両者にどういった面で違いがあるか、チェックしていきましょう。
補償範囲の違いは死亡時の適用範囲にある
クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、保険会社が提供する海外旅行保険と比べて補償範囲が狭いと言えます。
特に違いがあるのが、旅行時の疾病により死亡した時まで対象になるかという点です。
クレジットカードの海外旅行保険には死亡保障がついていますが、一般的にはケガによる死亡のみを対象とし、疾病による死亡は対象外とされています。
一方保険会社の海外保険では、疾病死亡に対応する商品も多いです。
例えば、損保ジャパンが提供する「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」の補償内容は、以下の条件に当てはまる場合、保険金全額が支払われます。
お支払対象となる主な場合
保険のお支払対象となる期間中に病気により死亡された場合
保険のお支払対象となる期間中に発病(発病の診断は治療費用と同様です。)した病気、または期間中に原因が発生し、期間終了後72時間以内に発病した病気により、期間終了日からその日を含めて30日以内に死亡された場合(ただし、期間終了後72時間を経過するまでに医師の治療を開始し、その後も引き続き医師の治療を受けていた場合にかぎります。)
保険のお支払対象となる期間中に感染した特定の感染症(治療費用と同様です。)により、期間終了日からその日を含めて30日以内に死亡された場合
発展途上国へ行く場合、現地で感染症を発症しそのまま亡くなる可能性もゼロとはいえません。
こういった場合にも、残される家族のために備えたい人は、保険会社の海外旅行保険の方が安心です。
また保険会社の海外旅行保険は、緊急歯科治療費の項目が設定されている場合もあります。
緊急歯科治療は海外で歯科診療を受けた際の費用を補償する内容です。
海外の歯科診療費は日本と比べてかなりの高額なので、万一の事態に備えて加入しておくのも良いでしょう。
補償金額はクレジットカードの海外旅行保険の方が低い
補償金額については、クレジットカード付帯の海外旅行保険だと治療費用や救援費用の補償が低い場合が多いです。
基本的に、保険会社が提供する保険の方が高額の補償が受けられます。
例えばソニー損保の海外旅行保険では、治療・救援費用を5,000万円請求可能です。
特に、病気による治療にかかる補償は最も利用頻度が高いため、補償金額が充実している保険会社の方が良いという人もいるでしょう。
クレジットカードの海外旅行保険は費用の建て替えが必要
基本的にクレジットカードの海外旅行保険では、現地で治療に生じた費用などを一度、自身で建て替える必要があります。
帰国後に、生じた費用を請求するという手順を踏みます。
一方、保険会社の海外旅行保険では自己負担無くして請求が可能です。
より手厚い補償・サポートを受けたい人は保険会社、より手軽に必要最低限の海外旅行保険を付けたい人はクレジットカードのみを用意するのが向いています。
クレジットカードの海外旅行保険補償の申し込み方法
海外旅行保険の補償を受けるためには、自ら申請する必要があります。
自動付帯のカードを使っていたとしても、自動でカードから引き落としされるわけではないので自ら手続きをしなければいけません。
ここではエポスカードを例にとって、実際に海外旅行保険の補償を申請する手順を紹介します。
クレジットカードで海外旅行保険の補償を申し込む際は、どのカードも似たような手順のため、他のカードを持っている人でも参考になります。
手続について何も知らずに旅行に行くと、いざ実際に利用する際に戸惑ってしまうため、ぜひ確認しておきましょう。
病気やケガをしたとき
エポスカードの海外旅行保険ではケガや病気の場合、2つの請求方法があります。
- 現地のキャッシュレス・メディカルサービスへ連絡
- 帰国後にエポスカード海外旅行保険事故受付センターへ連絡
1つ目がキャッシュレス・メディカルサービスを利用した場合の方法で、病院に行く前に、最寄りの「エポスカード海外旅行保険事故受付センター」へ連絡しなければなりません。
問い合わせするとセンターのスタッフが提携先の病院を手配・紹介してくれるので、そこで診療を受ければ、自己負担なしで治療を受けられます。
2つ目が建替え払いをしたケースで、帰国後に「エポスカード海外旅行保険事故受付センター」に連絡します。
保険金請求の場合、事故発生から30日以内に連絡する必要がある点に注意してください。
賠償責任が生じたとき
他人にケガをさせたり他人の所有物を破壊したりして賠償責任を負った時の請求方法です。
最寄りの「エポスカード海外旅行保険事故受付センター」へ連絡し、事故の概要を伝えます。
相手から賠償金を請求された理由や根拠も合わせて伝えるようにしましょう。
携行品損害のとき
盗難の被害に見舞われた場合は、ただちに最寄りの警察に連絡し、「盗難届出証明」を受け取りましょう。
事故に関する相談がしたい時は、最寄りの「エポスカード海外旅行保険事故受付センター」に連絡してください。
海外旅行保険の補償申請に必要な書類は?
各ケースにおける申請に必要な書類を紹介します。
請求内容によって必要な書類が異なるので注意してください。
- パスポート
- 保険金請求書
- 医師の診断書
- 治療費明細書、領収書
- 必要に応じてその他の書類
- パスポートの顔写真ページ及び出国スタンプのページのコピー
- 保険金請求書
- 示談書、領収書
- 必要に応じてその他の書類
- パスポートの顔写真ページ及び出国スタンプのページのコピー
- 保険金請求書
- 医師の診断書(治療費が10万円以下の場合は省略)
- 損害額を証明する書類
- 必要に応じてその他の書類
電話さえすれば補償が受けられるわけではなく、パスポートといった書類の準備が必要です。
特に海外の病院などで治療を受けた場合には、領収書を受け取るのを忘れないようにしましょう。